文例集

顛末書の書き方

顛末書の書き方
ビジネス文書場面: 事故経緯の報告更新日: 2026年3月27日
場面: 事故経緯の報告
関係性: 担当者→管理者

この場面で大切なこと

顛末書とは、ある出来事が発生してから収束するまでの経緯を時系列で記録する報告文書です。始末書と混同されがちですが、両者には明確な違いがあります。

文書名 目的 中心となる内容
始末書 謝罪・反省 お詫びの言葉 + 再発防止策
顛末書 経緯の報告 事実の時系列記録 + 原因分析

顛末書は「何が起きたか」を正確に伝えることが最優先です。感情的な謝罪文より、**5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)**を意識した客観的な記述が求められます。

管理者・上位職が顛末書を読む目的は「再発防止策の立案」と「関係者への説明」です。事実が正確に整理されているほど、組織としての適切な対応につながります。

例文パターン

パターン1:システム障害の顛末書

顛 末 書

                              令和○年○月○日
                              情報システム部
                              担当:田中 一郎

件名:○月○日発生 社内サーバー障害の顛末について

【概要】
令和○年○月○日(○曜日)○時○分頃から○時○分まで、
社内グループウェアサーバーへのアクセスが不能となる障害が発生いたしました。
本文書は、その経緯と原因および対応策を報告するものです。

【経緯】

○月○日(○)
09:15  社員数名より「グループウェアにログインできない」との報告が情報システム部へ入電
09:22  情報システム部 田中・鈴木にて状況確認開始
09:35  サーバールームにて物理的なサーバー状態を確認。電源・ネットワーク機器に異常なし
09:48  ログ解析により、ディスク容量の枯渇が原因であることを特定
10:05  一時対応として不要ログファイルを削除し、空き容量を確保
10:20  サービス復旧確認。全社に復旧完了をアナウンス

○月○日(○)
14:00  根本対応として、自動ログ削除スクリプトの設定変更を実施
15:30  設定変更の動作確認完了。監視アラートのしきい値を容量80%に変更

【原因】
ディスク容量の監視が適切に機能しておらず、アラートが発報されなかった。
また、定期的なログ削除の自動化設定が抜け落ちていたことが根本原因。

【影響範囲】
・期間:○月○日 09:15〜10:20(約1時間5分)
・影響ユーザー:全社員○名
・業務影響:メール・スケジュール確認が不可能な状態

【再発防止策】
1. ディスク使用率の監視アラートを80%に設定(設定済み)
2. ログファイルの自動削除スクリプトを月次で実行するよう設定
3. 定期点検項目にディスク残量確認を追加
4. 障害対応フローを文書化し、情報システム部全員で共有

以上

パターン2:商品クレームの顛末書

顛 末 書

                              令和○年○月○日
                              営業部 第二営業課
                              担当:鈴木 花子

件名:株式会社○○様からの商品クレーム対応顛末について

【概要】
○月○日、株式会社○○ 購買部 山田様より、
弊社商品(品番:A-12345)に不良品が混入していたとのご連絡を受けました。
本文書はその経緯と対応内容を報告するものです。

【経緯】

○月○日
13:20  山田様より電話にて「○月○日纳品分の商品10ロット中、3ロットに変色が確認された」とのご報告
13:35  上長(○○課長)に報告。品質管理部への確認依頼
14:00  品質管理部にて当該ロットのサンプル保管品を確認→同様の変色を確認
16:00  山田様へ電話にて謝罪。品質管理部と協議の上、翌日中に全量回収・交換対応することを連絡

○月○日
09:00  配送担当に不良品の回収と代替品の配送を依頼
11:30  山田様宅への代替品納品完了。不良品を全量回収
15:00  山田様より受領確認と了承の電話

○月○日
10:00  品質管理部より原因分析報告書受領
         原因:製造ライン○番の温度管理センサー異常による加工不良

【原因】
製造ライン○番のセンサーが規定温度を正確に計測できていなかった。
定期点検では数値上の異常が見られなかったため、初期段階での検知ができなかった。

【再発防止策】
1. 製造ライン全センサーの精度検査を○月○日までに実施
2. 出荷前の抜き取り検査ロット数を現行の5%から10%に引き上げ
3. クレーム対応フローを再整備し、受電から報告までのタイムラインを明文化

以上

パターン3:情報漏洩の顛末書(簡易版)

重大な情報漏洩の場合、速やかに第一報を提出し、調査が進むにつれて詳細版を提出します。

顛 末 書(第一報)

                              令和○年○月○日
                              ○○部 ○○課
                              担当:山本 次郎

件名:顧客情報を含むUSBメモリ紛失の件

【概要】
○月○日、顧客情報を保存したUSBメモリを紛失しました。
現在調査中のため、判明している事実のみをご報告いたします。

【経緯(判明分)】
○月○日(○)  ○時頃に○○で作業中にUSBメモリを使用したのを最後に確認
○月○日(○)  朝の業務開始時にUSBメモリが手元にないことに気づき、上長に報告

【保存データの概要】
・顧客名・連絡先情報(○件分)
・暗号化:なし

【現在の対応状況】
・遺失物届を提出(○日○時)
・情報セキュリティ担当部署へ報告・相談中
・影響顧客への通知対応を検討中

本件については、調査が進み次第、詳細な顛末書を改めて提出いたします。

以上

送るときに気をつけたいこと

時系列は「日時」を正確に

顛末書の命は時系列の正確さです。「○日頃」「午前中に」のような曖昧な表現は避け、「○月○日 ○時○分」のように特定できる場合は具体的に記述します。

原因分析は事実ベースで

「注意が足りなかった」「確認を怠った」といった精神論的な原因分析だけでは不十分です。なぜ確認を怠る状況が生まれたか(手順書がなかった、工数が足りなかった等)まで踏み込んで書くと、実効性のある再発防止策につながります。

第一報は速く、詳細は後から

大きな問題ほど、判明している事実のみを速やかに第一報として提出し、調査が進んだ段階で詳細な顛末書を改めて提出する形が求められます。情報が揃うまで提出しないのはNGです。

NG表現

  • 「〜だと思われます」 → 推測と事実は区別し、「現在確認中」と書く
  • 「○○さんから言われたので」 → 原因分析で他責表現は避ける
  • 経緯欄に謝罪文を混在させる → 経緯は事実のみ記述し、謝罪は冒頭または末尾に集約する

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