稟議書とは
稟議書(りんぎしょ)とは、組織内で意思決定が必要な案件について、起案者が関係部門や上位者の承認を得るために作成する文書です。「決裁書」「起案書」とも呼ばれます。
承認を得るためには、意思決定者が判断に必要な情報をすべて稟議書内に盛り込むことが重要です。
稟議書のポイントは3つ:
- なぜ必要か(目的・背景・課題)
- 何をどうするか(内容・仕様・相手)
- コストとリスク(金額・期間・代替案との比較)
例文パターン
パターン1:システム・ツール導入
稟議書
起案日:令和○年○月○日
起案者:情報システム部 鈴木 花子
起案番号:IS-2026-○○
件名:プロジェクト管理ツール「○○」導入の件
【申請内容】
クラウド型プロジェクト管理ツール「○○」(提供:○○株式会社)を
情報システム部・営業部・開発部(合計○名)に導入することを申請します。
【背景・目的】
現在、各部門がそれぞれ異なるツール(Excel・メール・口頭)でタスク管理を
行っているため、以下の問題が発生しています。
・部門間のタスク状況が可視化できず、進捗確認に毎回連絡が必要
・担当者不在時の引き継ぎが不徹底で、顧客対応漏れが○件/年 発生
上記を解消し、業務効率化とミス削減を実現するために導入を申請します。
【提案内容】
ツール名:○○(クラウド型 SaaS)
ライセンス数:○名
利用開始予定:令和○年○月○日(トライアル終了後)
【費用】
・月額費用:○○円/名 × ○名 = ○○,○○○円/月
・年間費用:約○○○万円(税別)
・初期費用:なし(クラウド型のため)
【代替案との比較】
| 比較軸 | A案(現行維持) | B案(○○導入) | C案(社内開発) |
|--------|-------------|-------------|-------------|
| コスト | ゼロ | ○○万円/年 | ○○○万円(初期) |
| 導入期間 | — | 即日 | 約6ヶ月 |
| 問題解決 | ✕(継続) | ○ | ○ |
B案(○○導入)が、費用対効果・導入速度ともに最適と判断しました。
【期待効果】
・進捗確認の連絡工数:月あたり約○時間削減(試算)
・タスク漏れ・対応遅延の防止
【添付資料】
・見積書(○○株式会社)
・トライアル評価レポート
以上、ご決裁をよろしくお願いいたします。
起案者:鈴木 花子(情報システム部)
承認:情報システム部長 → 管理部長 → 社長
パターン2:外部委託・業者選定
稟議書
起案日:令和○年○月○日
起案者:営業部 田中 一郎
起案番号:EI-2026-○○
件名:Webサイトリニューアル制作外部委託の件
【申請内容】
自社コーポレートサイトのリニューアルを、外部制作会社(○○株式会社)に
委託することを申請します。
【背景・目的】
現行サイトは○年前に制作したもので、以下の問題があります。
・スマートフォン非対応のため、モバイルユーザー(問い合わせの約60%)の
離脱率が高い(Google Analytics 計測値:○%)
・会社概要・サービス内容が現状と乖離しており、誤ったイメージを与えている
・お問い合わせフォームの動作不良により、月に○件以上の問い合わせ機会損失が発生
【委託先】
社名:○○株式会社
選定理由:3社見積もりの結果、品質・費用・納期のバランスが最も優れていたため
(見積もり比較表 別紙参照)
【費用および納期】
制作費:○○○万円(税別)
内訳:設計費○万円、コーディング○万円、素材撮影○万円
納期:契約から約3ヶ月(令和○年○月完成予定)
【内製との比較】
内製の場合、デザイン・コーディング双方のスキルを持つ人員が現時点で不在のため、
外部委託が現実的な唯一の選択肢と判断しました。
【添付資料】
・3社見積もり比較表
・○○株式会社 制作実績
以上、ご決裁をよろしくお願いいたします。
起案者:田中 一郎(営業部)
承認:営業部長 → 総務部長 → 社長
パターン3:設備・消耗品等の購入
稟議書
起案日:令和○年○月○日
起案者:総務部 山本 三郎
起案番号:GS-2026-○○
件名:応接室ソファ買い替えの件
【申請内容】
応接室のソファ(現行品)を新品に買い替えることを申請します。
【背景・目的】
現行ソファは○年○月購入のもので、スプリングの劣化・外観の傷みが著しく、
顧客来社時の印象に悪影響を及ぼしていると判断しました。
直近○ヶ月で○件の顧客訪問があり、今後も増加が見込まれます。
【購入内容】
商品名:○○(○○株式会社製)
数量:2点セット(3人掛けソファ + 1人掛けチェア)
購入先:○○家具
金額:○○,○○○円(税別)
【耐用年数】
メーカー推奨:10年
【他案との比較】
修繕(クリーニング+スプリング補修)の場合:見積もり○万円
→ 修繕費と新品の差額が○万円と僅差であるため、長期的には新品購入が合理的と判断
【添付資料】
・商品カタログ・見積書
・現状写真
以上、ご決裁をよろしくお願いいたします。
起案者:山本 三郎(総務部)
承認:総務部長 → 社長
送るときに気をつけたいこと
「なぜ今なのか」を明確にする
承認者が稟議書を見て最初に感じる疑問は「なぜこのタイミング?」です。課題が以前から存在するなら「なぜ今まで申請しなかったのか」を先回りして説明しておくと、スムーズに通ります。
コストは比較表で見せる
金額だけを提示するよりも、「現状維持した場合のコスト・リスク」と比較する形式で示すと、投資の必要性が伝わりやすくなります。
NG例と改善
NG: 「○○を導入したいので費用の承認をお願いします」(理由・比較なし)
OK: 背景(現在の問題) → 申請内容 → 費用・比較 → 期待効果 の順に論理的に構成する
